歯科医が行う最善の努力

膿漏治療を行うにあたり、勿論歯磨きなどの生活改善は必須ですが、それだけでは完璧にはなりません。本来、医患共同です。医師側も当然ツボをおさえた努力が必要となってきます。そのいくつある治療技術の中で暫間固定と咬合調整という方法があります。暫間固定については以前触れた通り、グラつく歯をその左右にある歯と一緒にレジンや針金を用いて固定してしまう方法です。噛んだりうがいをしたり、歯磨きをした際の動揺を防ぐ効果があります。そして今回詳細にお伝えしたいのは後者の咬合調整についてです。歯槽膿漏に気づくまでの進行している間に、必ずと言っていいほど歯が移動を起こしています。最も多いケースが、腫れによる浮き上がりです。噛みしめる度に沈み、揺さぶられる結果となります。それが何度も続くとぐんぐん抜けやすくなってしまいます。このような歯は、暫間固定だけでなく、噛み合わせた時に激しくぶつからないように浮き上がった部分だけ削り取るというのが、咬合調整になります。最も、治療の本筋としては、浮き上がった病的変化を鎮めて元に落ち着かせる事でしょう。下手に浮いた分を削ってしまうと、健康な状態に戻ったら逆に他の所がぶつかってしまうという事にもなりかねません。従って、咬合調整は「どうしても必要な時」「やらないとどうにも切り抜けられない」という時にだけ行う事となり、全歯列の具合をしっかり見極めてからの施行という事になるでしょう。要は「奥の手」と言った所でしょうか。ただ実際には、わずかでも元に戻ったら固定を外して、新たにその状態に見合った固定処置を行うという「小刻みな暫間固定」のみで切り抜け、咬合調整は避けるという選択をとる先生もいらっしゃるのではないかと思います。このように暫間固定や咬合調整を行う事によって、患者さんは安心して歯磨きや30回噛みなどの生活改善を行う事が出来ます。しかし注意して頂きたい事は、歯磨きなどの生活改善が伴わなければ、暫間固定や咬合調整で使用する器具に歯垢が残ってしまいかえって歯槽膿漏にとって有害な物に変わります。そこは念頭に置いて頂きたく思います。