抜かずに治す2

もしも対症療法で腫れを取り除いたとしても、生活改善はなされず、即ち病因そのものの除去には至っていないのです。という事は、必ず再発してしまいます。

この歯槽膿漏という病気は、進行こそ遅いものの自覚症状が現れ始めた事には加速的に腫れや痛みが頻発します。そして漏れ出してくる膿の量は増し、噛めなくなってきます。そして数か月から数年でその歯は脱落するのが普通だと言えます。

しかしこれでは患者さんが気の毒です。歯科医の評判も落ちてしまうという事態も考えられます。対して、歯を抜くと「歯の周り」もなくなり、病気も終息することとなります。

「歯槽骨が歯根の半分まで溶けていたら抜いて入れ歯に」という、言ってしまえば時代遅れの健保の指導基準も、割とごく最近まで生きており大きな影響を与えました。このような事情で、頭の中では「治るのではないか」と考えている歯科医も、多くのケースで抜歯という選択をしてきたのです。

かくして「歯科医は、ガタが来た歯は抜いて入れ歯にするのが役目」とばかり思い込んでしまっていたのです。ですが今では治療法が色々と発見されました。抜くだけが治し方ではないんです。